真・今年出会った最高の本

以前このブログで言いました。
「今年読んだ一番面白い本は『ドン・キホーテ』です」と。
あれはウソです。
けど、嬉しいウソです。
それよりもっと素晴らしい本に出会えたから。

改めて紹介します。今年出会った最高の本はこれです。


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『アンゲルゼ』全4巻
須賀しのぶ 著  コバルト文庫

全く偶然の出会いでたまたまこの本の4巻目(最終巻)を手にとったことは以前書きました。
その日以来、この本について語りたくて仕方なかったのですが、改めて全巻揃えて読み終えるまで控えていました。
しかし読み終えた今、いざとなると何も言えません。この本の内容をなぞったところで、自分のこの本への思いは何一つ伝わらないでしょう。
しかし、全身全霊で書かれた本だけが持つオーラを、私はこの本に感じました。それも読み進めるほどはっきり、その気迫が伝わってきました。いつまでも読み続けていたい。たった4巻で終わるなんてあまりにもったいない、そんな本でした。

仮に私の本棚の収容力がたった百冊だったとして、この本は間違いなくその書棚に残るでしょう。たとえそれが五十冊でも。
もし十冊しか入らないとしたら(そんな本棚は捨てますがw)それでもやっぱり、この本は残ってると思います。


この本の魅力をどうにか伝えたいところですが、あいにく私の知る他のどんな話にも似ていません。
ただ『アンゲルゼ』全4巻を読み終えた時の気持ちは、『天空のエスカフローネ』全26話を見終えた時の気持ちに似ています。
ふたつの物語の共通点といえば、どちらも極上のラブストーリーで、登場人物のほぼ全員が魅力的だというくらいですが。

誰かの作品を他の人の作品に例えることは、却って作者に失礼にあたる事かもしれません。
けれど今の私にはこれより上手く伝えることはできません。
そしてこれは『アンゲルゼ』に捧げる、私のせいいっぱいの賛辞です。

永遠の君に誓う

本に対する自分の姿勢が変わってきました。
以前は少しでも気に入らない本は読まなかったのですが、性根を入れ換え、少しでも興味のある本は読むようにしています。
(まあ、悪い事じゃないと思う)

読書量は増えました。弟に借りたり古本屋で見つけたりネットで買ったりして。おととしあたりまでの読書量が年に3冊ほどだったのを考えると見違える成果です。
但しこのブログで取り上げていないのは、そこまで心に残る本がなかったからなのですが。

そんな中、この本に出会いました。


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『アンゲルゼ 永遠の君に誓う』
須賀しのぶ コバルト文庫

ネットを散策してた時、通りすがりのブログでこの本が熱烈紹介されていたのを記憶の隅で覚えていて、古本屋でたまたま見つけたので買いました。
(しかも最終巻)

何の期待もせず暇つぶしに読み始め、それまでのあらすじを知らない事もありただズルズルと読んでいたのですが、


そんなナメた読み方してごめんなさい

魅力に気づくのに相当時間がかかりました。が、終盤に差しかかる頃にはかぶりつくように読んでました。
(そして読み終えてすぐ2周目に突入)


シュミか? と訊かれたら、全然シュミじゃないです。
こんな暗くて残酷な話、自分は何で読んでるんだろう。
なんで作者はこんな話を書けるんだろう。
けれど優れた文章表現力が、そして悲惨な境遇を懸命に生きる主人公たちへの共感が、この本を手放すことを許してくれません。


細かい感想を書きたいのは山々ですが、今は読了直後で完全に打ちのめされ言葉がありません。
(必ず全巻買って読み直します)

「最高に素晴らしい作品」とも思えるし「一体誰のために書かれた本なのだろう」とも思うし「なんでもっと評価されないんだろう」とも思える不思議な本です。
そして「永遠の君に誓う」という副題はこの本にぴったりだと思います。
いっけん安っぽいラブストーリーを思わせる副題だけど、主人公たちの真っ直ぐで切ない愛を表現するのにこれほど似合う言葉はないと思います。

切なくて、残酷で、儚くて、それでいて癒されて、けれどやっぱり切ない本です。

晴天の霹靂


読書は嫌いではありません。でもあまり読みません。
沢山読むより、いい本が読みたいのです。
といって世間様がいう「いい本」をパラパラめくっても、大抵は私の心に響かない。そのままポイ捨て。運がよくても本棚の肥やし。
そんな本棚の肥やしの中にシェークスピアがあります。三十代で近松に目覚め、セルバンテスの魅力もようやくわかってきましたが、この大物は自分の琴線に触れたことがありません。
それが今朝、なんとなく買って放ったままの『マクベス』を読み流してみたところ、なんとすらすら気持ちよく読めるじゃないですか!?
まるでひどい便秘から開放されたような清々しい気持になれました。

自分が年をとったせいでシェークスピアが理解できるようになったのか!? それにしても51才で開眼とか遅すぎないか?
いや、どうやら年齢のせいではなさそう。
本文の後に長々と書かれた解説を読んで、その理由に気づきました。
この解説、非常にわかりやすく読みやすく面白い。いわゆる学者肌の文体ではない。
その解説を読み進めるうち、こんな一文が出てきました。

 ついでにいうと、ぼくの『子午線の祀り』という芝居は、

唐突に自分の好きな戯曲のタイトルが出てきて仰天し、慌てて背表紙を見ると、そこには紛れもなく 「木下順二訳」と明記されていました。
これで、自分が今までずっとシェークスピアが嫌いだった理由がようやく、分かりました。
今まで、いい訳本に出会わなかっただけなんだと。

今まで訳者なんか気にせずにいたのですが、よく考えたら、いや考えるまでもなく、海外本なんて訳がよくないと何の値打ちもないよね。


ともあれ、これで遂にシェークスピアという高い峰に挑む勇気が沸いてきました。
背表紙の『木下順二訳』を目印にすればOKなので気が楽です。

気に入った3冊(その3)

最近読んだ本の中から気に入ったものを取り上げてます。
3冊目はこれです。
私にとってはとても嬉しい一冊です。



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『這いよれ! ニャル子さん』
逢空万太 GA文庫


何が嬉しいってね。
今まで何度となくラノベを読む事にチャレンジしては挫折してきた私が、初めて心の底から「面白い!」と思えたんですから。
まことにめでたい、記念すべき一冊ですよ。


読んだ事のある人、アニメを見た人ならわかってるでしょうが、はっきり言って「しょーもない」話です。無論それがいいのです。
「私がラノベに求めていたものはこれだ!」というわけではないのですが、とにかく楽しく読めました。『ハルヒ』も『ゼロ魔』も、その他いろいろ駄目だった私がなぜこれならOKなのか、どう違うのかが自分にも説明できませんが。
ひょっとしたら私の適応力が上がっただけかもしれませんけどね。


そういえばほぼ同時期に『織田信奈の野望』という本も読みました。これも意外と読めました。最初は読むのも辛かったのですが段々と慣れてきて、一見アホな主人公もこれはこれで一本筋の通った漢に見えてきました。やはりヒット作にはそれなりの理由があるという事でしょう。
『織田信奈』の方は続きを読みたいとまでは思いませんが、『ニャル子』は既に続きを読んでます。


なんとかラノベが読める身体になった自分を少しだけ褒めてやりたいです。継続は力なり。

気に入った3冊(その1)

エトワ-ル☆です。
一時期は年に1、2冊しか読まない時期もあったのですが、ここ数年は人並みに本を読んでます。ブログでいちいち取り上げてませんが気に入った本も少なからず。
今思い出してみても『ダライ・ラマ自伝』『ちょっとピンボケ』『サボ島沖海戦』『死闘の駆逐艦』『海上護衛戦』などなど、ジャンルを問わず面白そうなものを幅広く読んでます。
(幅広くといいつつミリタリー物ばかりだな)

機会があればそういうのの感想も書きたいですが、さしあたってはこの数カ月に読んだ中で面白かった本を3冊取り上げたいと思います。
今回はこれ。



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『ドン・キホーテ』
セルバンテス作 牛島信明 編訳 岩波少年文庫


一年くらい前からこの小説が何故か気になっていたのですが、難しそうな古典ということもありなかなか手が出ませんでした。
去年の暮れに志摩スペイン村に行った時「ここなら『ドン・キホーテ』がどんな話なのかわかるだろう」と思ったのですが、アトラクションを見たら余計わからなくなりました。
今年に入ってコミックス版も読んだのですが、シッチャカメッチャカな話で何の理解も得られず。
埒があかないので図書館で腰を据えて本編を読もうとしたものの15分ほどで挫折。
そんな苦闘を続ける中、子ども向けに書かれたこの本に辿り着き、ようやく『ドン・キホーテ』がどんな話なのかある程度理解できた次第です。

私を含めて大抵の人にはこの話、「風車を怪物と間違えて戦いを挑むとんちんかんな老騎士の話」というイメージしかありません。
けど、数百年に渡って読み継がれてきた名作と言われる本だから、それだけではない奥深いものがきっとあるはず。
そう思って読んでみたら、やはり面白かった。
ストーリーうんぬんよりも、話の端々にみられる含蓄のある言葉に魅せられます。ぶっちゃけ、主人公のドン・キホーテとサンチョ・パンサの呑気な会話を読んでるだけで不思議と心が満たされます。
そういう意味では、これは小説と思って読むよりも、何も考えず書かれている言葉の味わいを楽しむ、そんな本じゃないかなと、私はそう思いました。

この本は正確な訳本ではなく、本編を1/6にまで抜粋した本です。というより訳者が入念に取捨選択し再編集した本です。
どんな素晴らしい小説でも数百年も経てば陳腐化するのは避けられませんが、訳者は過去の名作の本質だけを摘み取って絶妙にブレンドしたものを読者に提供してくれています。あとがきにその苦労がさらりと書かれていますが、本当に大変な仕事、そして素晴らしい仕事だと思います。
もちろん、本物の風味を知りたければ全訳本を読めばいいわけだし、そのとっかかりとしても、またこの本自体が完結した一冊の優れた本としての価値も持つ、そんな最良の一冊だと思います。

唯一の不満は、というか別に私は不満じゃないのですが、これが推奨年齢「中学以上」とか絶対ウソだろ。学校の図書館にこんなもん置いても生徒が見向きもしないのは請け合ってもいい。
作者が50才を過ぎてから書いたこの本は人生の酸いも甘いも噛み分けてきた人間が読んで贅沢なひとときを味わうためのものだと私は確信してますよ。
そういう意味で、これは「子供向け」という殻を被った、その実、私のような人間(=おっさん)のために書かれた本だと思います。訳者自身がそういう本の必要性を感じ、子ども向けという名目でこの本を創りあげたのだと私は思いました。



こういう本をあまり読んだことがないので、この本の良さをうまく伝えられないのがなんとももどかしいですが、今年読んだ本の中では間違いなく一番面白かったです。
(今年は半分残ってますが、そう断言できるレベル)

プロフィール

雪山雪男

Author:雪山雪男
「艦これ」大好きな元「Answer×Answer」プレイヤー。
老眼と戦いながらプラモ作りに励んだり、気まぐれで小説を書いたりする日々です。

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