求めていた作家

「好きな作家は?」と聞かれても「いません」と答える。
ずっとそんな事が続いていました。

学生の頃は読書人間だったのに社会人になって本を読まなくなりました。忙しかったせいもあるけど、時間ができるようになっても読書の習慣がなくなってしまってた。
好きな本なら何冊もあります。たぶん人並みに。
でも、その作家の作品を残らず読みたくなる、そんな人には長いこと出会ってません。
不幸なことです。
でも、ようやく言えそうです。「この作家が好きです」と。



今、フィリップ・K・ディックを読んでいます。
SF好きなら当たり前に読んでいるはずの本を今頃になって。
ディックが知られるようになったのは私が社会人になり本を読まなくなった頃。私にとっては現れるのが微妙に遅すぎた作家でした。
さすがに『ブレードランナー』の原作者だとは知っていました。大好きな映画だし原作も愛読書です。
でも何故かそこから先に進むことはなかった。

それでも心の隅には彼の名がひっかかっていたのでしょう。
数日前から彼の短編集を読み始めました。
とめどなく湧き出る斬新なアイデア、物事を違った角度から見る事のできる才能。作品をひとつ読む毎に驚かされます。
しかもアイデア倒れの古くさいSFと違い、この人の作品には情感がこもっています。登場人物がちゃんとその世界を生きていて、木や草や動物や人への愛情に溢れています。
私が読みたかったのはこういう本です。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んだ時、なんでこの人の他の本を読もうとしなかったのだろう。あと一歩踏み出さなかったのだろう。
その年月が悔やまれます。
けど、今からでも遅くない。

残念な事にディックはもうこの世にいません。
『ブレードランナー』公開直前に亡くなっています。
金銭的にも恵まれず才能に相応しい評価を受けていなかったようです。
けれど彼の作品には、自らの才能を信じる者の自信と自分にしか書けないものを書く作家の誇りが感じられます。
嬉しい事に彼は多作家であり、私が読むべき本はまだまだ沢山ある。
小説という、私にとっては暗闇に等しかったジャンルで、ようやく頼りになる道しるべを見つけた気がします。

この人の本はできれば全部読みたいと思っています。
でも今読んでる短編集は、一日ひとつしか読まないようにしてます。読み進めたい気持ちを抑えて。
だって、一気に読むのがもったいないくらい素敵な話ばかりだから。

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雪山雪男

Author:雪山雪男
「艦これ」大好きな元「Answer×Answer」プレイヤー。
老眼と戦いながらプラモ作りに励んだり、気まぐれで小説を書いたりする日々です。

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