この機会に読書感想を二題

弟がこんなマンガを貸してくれました。



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施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』


これは「読書のススメ」というか「読書するフリのススメ」というか、いろんな本についての蘊蓄を語ったり語らなかったりする内容のマンガです。
といってもこのマンガについて多くを語るつもりはありません。正直あまり私の好みじゃなかったんで。
ただ、ここに取り上げられた本の中に2冊ほど「おっ」と思うものがありました。いずれも私が読んだことある本です。
いずれその感想など書かなきゃと思っていたので、この機会に。


まず一冊目はこれ。

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S・シン『フェルマーの最終定理』

実はこれも以前弟に借りた本です(未だ返してませんが)。
これは小説ではなくタイトルの通り、数学上の定理の証明に関する本です。
数学が嫌いな人なら鳥肌が立つようなタイトルですね。
そんな人間(そう私だ)が、たまたまこの本を手にとって最初から最後まで面白く読み終えることができました。それだけでもこれを書いたシンという人は凄い。「数学を知らない人にも分かりやすく」という一点に徹底的にこだわって書いた作者の努力が伺えます。

フェルマーの最終定理がどのようなものかは、この本を読めばすぐわかります。
しかしその証明については、
「うむ、なるほどそうだったのか。よくわかった!」
とはなかなかなりません。
数学の専門家でさえほとんど理解できない事を、一般人がこの本を読んだだけで理解できるわけもありません。
この本が伝えるのは証明そのものよりも、その証明にいかに多くの人間が関わってきたか、そしてこの定理を解く過程で数学者たちがいかに多くの成果をあげてきたかということ。
300年前の数学者の暇つぶしの思いつき。
一見我々の現実とは無関係の、単なる頭の体操。
そう思っていた定理が、それを証明していく過程で副産物として次々に数学上の成果をあげ、あるいは今までまったく別のジャンルと思われていた数学の分野を統合していく。
そして現代の最新数学を縦横に駆使した一人の若き数学者の長きに渡る執念によって、遂に歴史的な証明がなされる…
(証明が完成したと思われた後にもう一つのドラマがあるのですが)
最終的な証明に取り組んだのはアンドリュー・ワイルズというイギリス人ですが、その証明の最終段階で、二人の日本人が作り上げた理論(正確には予想)が決定的な役割を果たした事に、同じ日本人として驚かされました。
数論という、普段はまず関わる事のない世界を、300年来の謎とされてきた一つの定理を鍵にして覗いて見ることができる。この本の価値はそこにあると思います。

あ、ちなみにこれほどの偉業をなし遂げたワイルズさんですが、数学のノーベル賞といわれる「フィールズ賞」は年齢制限により受賞できなかったそうです。ひどいや。





もう一冊はこちら。



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P.K.ディック『ユービック』

これは今まさに自分が読んでる本です。
(ディックの本に畳は似合わんなあ…)

たった1ページで読者を虜にできる筆の冴え。
ストーリーうんぬん以前に「この人が書いた本ならどんな内容でも面白いに違いない」と思わせてくれる数少ない、おそらく私にとってただ一人の物書き。
今や私にとってディックはSFというジャンルを超えた「一番好きな作家」だと断言できます。


そういえば『バーナード嬢曰く』を書いた施川さんは随分SFが好きみたいでいろんなSF作家の名前が出てきます。
が、私はその名前の羅列を見て逆に思いました。
「ああ、私はSFファンじゃないんだ」
それらキラ星の如き巨匠たちの名を見ても、全然ときめかないから。
(ハインラインとか、一度もいいと思ったことがない)
今も私の心をとらえてくれるSF作家といったらディックとレムとストルガツキー兄弟くらいだなあ。しかもストルガツキー兄弟の作品なんて『ストーカー』一冊しか知らないし、レムも『ソラリス』以外絶版なんだろーし。SF氷河期はいつになったら終わりがくるんだろ。

あと、どーでもいーけど「ストルガツキー兄弟」って名前、昔のプロレスラーみたいだと思う。

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雪山雪男

Author:雪山雪男
「艦これ」大好きな元「Answer×Answer」プレイヤー。
老眼と戦いながらプラモ作りに励んだり、気まぐれで小説を書いたりする日々です。

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