至高の戦争映画かも

先週末にレンタルビデオを3本借りてきました。
これが3本とも大当たりでしたので、それを順次紹介していこうと思います。
まず一本目は私の好きな戦争映画から。


私はミリタリー、特に軍艦好きです。「戦争映画」も好きです。でも何でも見るというわけではありません。むしろえり好みが激しいです。
最近の映画(『永遠のゼロ』とか)は見てもいません。例外はあるでしょうが、近年に作られた戦争映画はどこか嘘っぽく戦争の雰囲気というか「空気」が描けていないと思います。
私は戦争未体験だしうまく言えませんが、何かが違うし何かが欠けているのです。
それは昔の映画と見比べればわかります。

そういう点で特に良作だと思うのは『太平洋奇跡の作戦 キスカ』(1965年公開)です。
原作者が実際の戦場を体験し、本人のアドバイスを尊重して作られたという事もあるでしょう。役者が口に出さずともシーンの端々に、今日死ぬかもしれぬ、明日死ぬかもしれぬという覚悟が伝わってくるのです。
(それをいちいちセリフにする最近の映画は、下品だと思う)

昔の映画に戦争の空気が感じられるのは、映画の出来もあるでしょうが作られた時代もあると思います。
スタッフや役者自身が戦争を体験し、あるいは戦争のために様々な思いをさせられた。
それを今の我々がいくら頭で考えても再現は困難でしょう。
邦画洋画を問わず、良作であれ駄作であれ、映画が作られた時代が遡るほど戦争の空気が感じられる。それが私の経験則です。



散々前振りをしましたが、今回借りてきた映画は『加藤隼戦闘隊』です。
タイトルだけは知っていましたが見たことはありませんでした。
ところが先日ネットで紹介動画を見て仰天しました。
映像こそ荒いですが「戦争の空気」がひしひしと伝わってきます。伝わってくるなんてもんじゃない。至近で弾を撃つ火薬のカスが自分の肌に当たって痛いくらい。
ここで紹介するのもどうかと思うけど、見れば一目瞭然なので。




【軍歌】 加藤隼戦闘隊 【実機映像】

ん、なぜ映画のタイトルが右から左に?
なにこのリアルな計器類。そしてリアルな迷彩塗装は!?
どういうことよ! じ、実機映像だと!?
もう、言ってる意味がわかんないですよ!!
何より隼の飛行シーンが理屈抜きに信じられないレベルでかっこいい!
なんなのこの動画、なんなのこの映画!?

一目散にwikiに駆け込み情報を得ました。
1944年公開!?
陸軍の全面協力!?
本当に、あれもこれも、全部本当に本物!?
もう、ありえないだろこんなの!!

しかし一番ありえないのは、今までそんな映画があることも知らずにいた私のボンクラ脳でしょう。速攻でビデオ屋に駆け込みました。
こんなもったいなお宝映像を部屋のちんけなモニターで見るには忍びなく、家族のいない間に居間の大きなテレビで見ました。



古い戦争映画が好きとはいえ戦中の作品は見たことありません。
いきなり画面いっぱいに戦争標語が映し出されるわ、タイトルは物々しい旧字体だわ、隼らしいエンブレムがどうみてもショッカーだわ、誇らしげに「後援 陸軍省」と銘打たれるわと、冒頭こそ戦時体制一色。
ですが映画の内容そのものはさして違和感なく見れました。字体が古いのと音声が聞き取りにくい(字幕推奨)くらい。
陸軍がスポンサーなのだからいわゆる「国策映画」のはずですが、全然そんな匂いがしません。「戦後作られた映画」と言われれば信じてしまいそうです。

しかし見ていくうち「これは戦後の映画ではありえない」とわかります。
隠そうにも隠せないのが、隼を始めとする本物の大戦機の魅力。隼だけでなく爆撃機、輸送機、さらには敵機までも鹵獲した本物を飛ばせています。
(個人的にはバッファローの飛行映像が見れて嬉しい)
主役である隼の機動性、特に軽戦ならではの敏捷性は素晴らしく、説明がなくても魅力が一目でわかります。

いっぽうストーリーには期待してませんでしたが、よい意味で裏切られました。
加藤隊長の人となり、生きざまをきちんと描いています。
ドラマとしての作りは今の目で見れば稚拙かもしれませんが、実話を元にしただけあり隊長の言動が指揮官としての説得力に溢れています。下手に美しいだけで中身のない映画よりよほどいい。

そして私が何よりも戦争映画に求める「戦争の空気」ですが、これは今まで見た全ての映画の中でダントツです。戦いの最中だけでなく出撃前、出撃後、そして日常のリラックスしたシーンの中にも戦争の影が見え隠れします。空挺部隊の出撃前夜の壮行会のシーンなどは何度見ても鳥肌が立ちます。
(壮行会って本来厳粛なものなのね)
そして隼の飛行シーンもしかり。
戦闘の際にパイロットが風防を開けたり、緊急発進時に5機横並びで滑走路を離陸したりと「ええっ!?」と思えるシーンがいくつかありました。これが戦後の作品だったり特撮だったりアニメだったら「嘘くさぁ」で終わりですが、
「昭和19年公開」
「後援 陸軍省」

という圧倒的な事実の元、ぐうの音も出ない絶対の説得力で迫ってくるのです。

ついでにこの手の映画でお決まりの特撮シーンについて。
右を見ても左を見ても本物だらけでお腹いっぱいの映画なので特撮シーンは多くありません。敵機撃墜のシーンや爆撃される敵地のシーンくらいです。
ところがその特撮シーンまでもが憎たらしいくらい素晴らしい。
本物の戦闘機が売りの映画だから特撮なんかおざなりでいいと思うんですが、そこは手抜きという言葉を知らない特撮の神様が存分に腕を奮っています。円谷英二に好きに作らせたらどうなるか、この映画が如実に教えてくれます。当時の東宝の経理部の悲鳴が聞こえてくるようです。
(特撮シーンが秀逸すぎるせいで、ますます戦時中の映画に見えない)



一人で楽しんで見ているつもりがいつしか父や弟も一緒になって見ていました。
「全然、『国策映画』っぽくない」
「戦意高揚の映画じゃない」
二人ともこれが戦時中に作られた事に驚いていました。
確かに、ことさらに戦争を賛美したり敵兵を残酷に描いたりといったシーンはほぼ皆無。
しかし私はこの映画を見て以来、ずっと戦意高揚しっぱなしです!
だって隼かっこいいし!!
戦争はかっこいいんです。これは紛れもない事実。
戦後、いや今も多くの人がこの事実から目をそらしていますが、それで本当に戦争を(そして平和を)理解していると言えるでしょうか?
説教臭い話はやめますが、男だったら誰でもこの映画を見てかっこいいと思うでしょう。
油田制圧の為の落下傘降下作戦のシーン(撮影のため実際に行った!)に至っては「かっこいい」を通り越して「神々しい美しさ」さえ感じます。
弟はこのシーンを見て「国を挙げて撮った映画だ」と言いました。
全く同感です。
「戦争に作らされた映画」というよりも、
「戦争が作らされた映画」とでもいいたいです。


当時の記録を今に伝える映像として、当時の戦闘機乗りの意気込みを伝える作品として、この映画に携わった方々に感謝したい。
「この時作っておいてくれて、本当にありがとう」と。
今となっては決して決して、決して作れない映画だから。
ああ、なんかむしょうに隼のプラモ作りたいぞ!


コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

雪山雪男

Author:雪山雪男
「艦これ」大好きな元「Answer×Answer」プレイヤー。
老眼と戦いながらプラモ作りに励んだり、気まぐれで小説を書いたりする日々です。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
リンク
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
月別アーカイブ
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード