「世界遺産」ねえ…

私は現在、「南海本線」という電車で通勤しています。
いつもは読書して過ごしますが、天気のいい日、特に雨上がりの空気の澄んだ朝には本を閉じて外の景色を眺めます。

難波行きの急行が浜寺公園駅を通過するあたりから線路は高架となり、やがて彼方に見える生駒の山々を背景に、街中にこんもりと緑豊かな小山が姿を現します。
それはただの丘ではなく古代の人間が作った人工物。
そう、巨大な前方後円墳です。

最初に見えるのは履中天皇陵。続いてさらに巨大な仁徳天皇陵が見えてきます。
堺駅のひとつ手前の湊駅にさしかかる頃、独特のシルエットを持つ二上山が仁徳陵の上に重なって見えます。自然の山と人の作った山。その重なりあう光景には厳かな感じさえしてきます。
それが偶然ではなく視覚的な威厳を計算した上でこの場所にこの墳墓が作られたのだと思い至り、古代の人に思いを巡らせます。
千年昔の人も、大阪湾の沖合から堺の港を目指しながら同じ風景を見ていたのだろうか、などと。

学生の頃も同じ路線で通学してたから、似た風景を見てきたとは思います。
けど多分その頃は線路が高架になってなかったので、住宅やビルに隠れて古墳なんてろくに見えなかったと思うので。
そんなわけで、自分が身近にある古墳の魅力に気づいたのはつい最近の事なのです。


そんな百舌鳥古墳群ですが、なにやら世界遺産申請の動きがあるらしいですね。


個人的には世界遺産とかどーでもいいです。
「世界遺産」、「モンドセレクション」、「トクホ」、どれも金と欲望の臭いがプンプンして。
とはいえお金は大事だし、地域の経済発展が大事だというのも頭では理解できます。
(いちおう経済学部出身ですw)

まあ世界遺産に賛成とか反対とか、不勉強な私が偉そうな事言ってもすぐボロが出るので言いませんが。
ただ堺市に関しては身近に見ているので言いたいことはあります。
堺って、
「世界遺産うんぬん以前に、観光地としてどうなの?」 
と。



・「最寄り駅がすごくわかりにくい」

堺がまず不親切に思えるのはこの点です。
大抵の観光地には起点となる駅がありますよね。
堺の場合「ここ」と断言できる中心地がありません。
堺市の中心部にはJR阪和線、南海本線、南海高野線の3つの鉄道路線が通っています。
(他に阪堺線という路面電車もあるが)
そして3つの路線それぞれに、

JR「堺市」駅
南海本線「堺」駅
南海高野線「堺東」駅

と「堺」と名のつく駅があり非常にややこしい。しかも3つの駅がそれなりに地域の中心といえるのが、ややこしさに輪をかけています。
(JRに関しては「堺市」より「三国ヶ丘」の方が開けてるかも)
「堺で待ち合わせ」となった時、どの駅を指すのか。念を押しておかないと準地元の自分でさえわかりづらいです。
実際に去年、堺駅で若い男性に「堺東駅はどっちですか?」とめちゃくちゃ焦った表情で尋ねられた事があります。
3つの駅は路線が違ううえ距離があるので間違えたら大変。特に「堺」駅と「堺東」駅を間違えたらバスかタクシーを使うしかありません(もしくはひたすら走る!)。



・仁徳天皇陵は見えない

観光地として堺を見た場合、最大のウリは仁徳天皇陵でしょう。
しかし以前もこのブログに書きましたが、この御陵には入れません。
全景が見れる場所もほとんどありません。
(堺市役所(堺東駅の近く)の展望ロビーから見えるそうです)

御陵を囲む堀の柵には宮内庁の「立ち入り禁止」の警告があり、そもそも「天皇陵は見せ物ではない」という意見もあります。これでは、
「本気で観光地にする気あるの?」
と疑わしくなります。



・「さかい利晶の杜」という名の謎施設

堺駅から10分ちょいの宿院という場所に「さかい利晶の杜」という文化施設があります。
歴史的に有名な人物に関する施設ですが、誰のことかわかりますか?
(私はわかりませんでした)
答えは「千利休」と「与謝野晶子」。
二人の名前の「利」と「晶」の一文字ずつとったんですね。
って、こんなのわかるわけないだろ!
略せばいいってもんじゃないだろ!?
大体、時代も文化ジャンルも違う利休と与謝野晶子をごたまぜにするのが強引すぎません!?
もっともこの宿院あたりは長く堺の中心にあり、二人ともこのあたりで生まれ育ったという事で、そういう意味では立地もカップリングも間違ってはないのですが。でもそんな事情は国民の99%は知らないし、どう考えても

このネーミングはないよね

名前だけで損してるように思える、堺の中では数少ないこの観光地。私は行ったことありません。
利休はともかく与謝野晶子は女性ならではのねちっこい作風が「うげろげ~っ」てなるほど苦手なので。



私は去年から今年のはじめにかけてこの宿院近辺で働いてました。近くを阪堺線という路面電車が走り、通りには包丁の店や和菓子の名店がそこここに立ち並び、昔の栄華の名残を感じます。創建以来千年を越える開口神社の境内を毎日通いながら、堺という町の歴史の重みを肌で感じていました。
宿院はいい町です。
そして堺は歴史の魅力にあふれています。
けれどその魅力は、毎日のように通っていたからこそわかる魅力だと思います。
観光客が半日なり一日なりを費やして満足感を覚えさせる、そんな工夫がされてません。
厳しい言い方をすれば「観光地としての体をなしていない」と思います。



別に私は堺の観光地化に賛成でも反対でもないんですが、仮にも世界遺産を目指すというならその前にいろいろやるべきことはあると思います。
「経済効果○○億」とか皮算用もいいですが「天皇陵を見せ物にするとは何事か」と言う頭の堅い連中の尻を蹴飛ばすくらいの覚悟がなくちゃね。


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雪山雪男

Author:雪山雪男
「艦これ」大好きな元「Answer×Answer」プレイヤー。
老眼と戦いながらプラモ作りに励んだり、気まぐれで小説を書いたりする日々です。

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